第３号
〜コトバの深部〜
- 共詠 4plus1 テーマ「消失」
- 湊圭史
明るい湾に入るとくじら瞬きする
着地するかわりについ飛んでしまう
消失点から乾いた手を写生され
叫びをあげて壁にしがみつく 錠剤
ゼロが失せたらみんな驚くだろう
清水かおり
リーフエッジは発着所の冥さ
眠いでしょ儚いでしょう雲間合う
手渡した透かし菊水 夜になる
カエサルの解剖よりも深く見る
速贄の僕らのあらわなる肢よ
兵頭全郎
水琴窟消えて狼そこかしこ
能面の匂い漁り火パッと散る
平原はない風がない眠らない
もう地面カタストロフィなら呪文
跡だけを残しイキモノシャララララ
吉澤久良
上空の鮫砕け散るぼくらの放課後
眼下の夏紙の手おびただしく流れ
秋の水傾 ぎマネキン痩せてゆく
貝の泡 人魚の鱗 天の鳥船
あなた越しに太陽驕るのを見やる
畑美樹
窓際に鴉と鴉またたいて
雲上のだらりと伸びてゆく蹴爪
叫びあうこともはなびらいろの蜘蛛
計量を終えて傾く乾物屋
ひとさじの王家の谷の虹になる
