
第3号
〜コトバの深部〜
- temperatur 兵頭全郎
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脱ぎながら鳥獣戯画を思い出す
たおれるものそばにモダンな貸衣装
予感より長めの糸が運ばれる
つづきにも戸惑いやがて背中を噛む
坂道に風が降りたらかえる舌
何もかも微笑口笛屋根裏部屋
化粧屋の正しい指にあるもしも
落ちそうな海の底にはリズム感
タンゴより熱い囁きノブの錆び
イミテーション救われたのは鼓動のド
口移し折れそうな台詞の乱れ
はみ出した祝詞チクタク揺れながら
飛び込み台から誓詞の渦のぞく
在処には結詞結局夜空の穴
ディフェンスは枯れようと夜の工場
欲しいとは思わせないが十三夜
夜熱の繁 永続という響きの属
対岸に乳白色の流れ 黙読
真空へ閉じる緋色の硯箱
紺碧を離れてかたまりになる珠
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