
第2号
〜融解し浮遊するコトバ〜
- 四者共詠 テーマ「剥離」
- 畑美樹
鎖骨から遠く離れて湾の潮
水面から水面へ置いてゆく舌
夕食の支度のように月がゆく
目の玉を洗えば月が残るなり
まなうらの一直線を抱かれよ
清水かおり
夜目あざやかにサーカスの表札
重曹の泡から出たり入ったりする
明日が足りない 残光へ舌買いに
剥がれあう人形夢を深くする
「炎上やね」湯葉掬う箸の先
兵頭全郎
現実として一行の外套膜
幻想はらり 紙とも布ともつかぬ汗
魔の羽化がはじまる声を大にして
修験者の足跡から生える音符
かつて張り付いていた辺りの黄色
吉澤久良
裸木のなおも形を脱ぐという
桃の字に闇をイメージできない奴ら
手と足の遠心力が強すぎる
閑かさや仁王の鱗剥がれゆく
花冷えの外骨格の残される
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